馬渡島釣行記その1~アジのいない海~
希望的混雑を選ぶか絶望的閑散を選ぶか。
こういった二者択一があれば、どうしても後者を選んでしまうのが私の性。釣りに行ってまで喧騒に飲み込まれるよりも、たとえ釣れなくてもいいから、静かに体中で自然を感じながら、まったりとした時間を過ごしたいと思うのであります。
5月17~18日は晴天に恵まれた凪の土日とあって、目的地の馬渡島(佐賀県)は釣人でごった返していました。
最終便で向かう私よりも一つ早い便で渡ったMさんの速報によると、漁港一帯はどこもかしこも泊まり組のテントだらけ。歩く距離が最も長く、いつもは私が周囲を独り占めしている東波止先端付近ですら、たくさんの釣人がいるとのこと。
ややブルーな気持ちで定期船を待っていると、Mさんから続報が入りました。なんでも、馬渡島発の最終便で釣人がごっそり帰り、東波止先端が空いたと言うではありませんか。
それを聞いて、俄然元気が出た私、大喜びで東波止への遠足開始です。100リットルの大型ザック、53リットルのクーラーを含む大荷物もなんのその!
(定期船から見た東波止)
波止先端へ着いて状況を尋ねてみると、Mさんの一言に唖然としました。
「見事に網を張られとうっちゃんね~。先端から向こうは全然流せんよ」
海に浮かんだブイを見ると、私たちがどうしようもなく絶望的な位置に釣座を構えたことを理解しました。図で説明すると、以下の通りです。
今日は脂が乗った良型アジを釣るのが一番の目的だったのですが、これでは話になりません。
内側ではアジゴが湧いていたと聞いていたので、仕方なく干物用のアジゴを釣ろうと狙いを変更しますが、釣れるのはフグ、フグ、フグ……。
また、今日はリトルジャックの超ミニインチク「ロックG」、超ミニルアー「アーマードフィン25」で果たしてアジが釣れるのかを実験することも大きなテーマだったので、フカセをやりつつ、それらも投げてみます。
しかし、ロックGもアーマードフィンもフグの大集団に追い掛け回されるだけで、アジの姿は1匹も見えません。
アジがいなけりゃ、実験が成立するわけがありません。
~続く~